[S.O.S. BOOK]

「SUPER OPEN STUDIO(S.O.S.)」は、2013年から開催されている、相模原市と町田市・八王子市の一部エリアにあるアーティストのスタジオ(制作場所)をオープン(公開)することに主軸をおいたアート・プロジェクトです。このプロジェクトには、倉庫や廃工場を改築した20軒を超える共同スタジオに所属する、100人を超えるアーティストが参加しています。

「S.O.S. BOOK」は文字通り「S.O.S.」のために編まれた「BOOK」です。7冊目となる『S.O.S. BOOK 2022』は、S.O.S.が10周年となる2023年を目前にひかえた10周年記念直前号として、2022年の運営メンバーを務める水上愛美さん(RED IRON STUDIO)と吉岡知秋さん(pimp studio)の対談から始まり、『S.O.S. BOOK』が未発行であったS.O.S. 2015、2014、2013を振り返ります。

『S.O.S. BOOK 2015』は「スタジオの終わりと始まり」をテーマに、2013~2015年までS.O.S.に参加していた大平歩さんと神山亜希子さん(プーススタジオ)へのインタビュー、2016年からS.O.S.に参加している尾山久之助さん(ESA)のエッセイを収録。

『S.O.S. BOOK 2014』は「スタジオビジット・バスツアーの起源」をめぐって、現在のバスツアーの原型となった「黄金町バザール2014」で実施した「Super Open Studio Drive!」を加藤慶さん(アートラボはしもと学芸員)に、2015年に初めて実現したバスツアーの誕生秘話を久野真明さん(studio kelcova)に回想していただきました。

『S.O.S. BOOK 2013』は「SUPER OPEN STUDIOと相模原」として、戦前からの相模原で起こった芸術運動に詳しい柳川雅史さん(元アートラボはしもと並びに相模原市民ギャラリー館長)と、美術大学で教鞭をとり、美大のアトリエから共同スタジオで制作を続けていくことに通じている栗原一成さん(STUDIO ISSEI / ゲルオルタナ)の論考を掲載。

『S.O.S. BOOK』を初めて出版したのは2016年でした。『S.O.S. BOOK』は、2014年から作成されている『MAP BOOK』(ガイドブック)とともに、オレンジ、赤、紫とキーカラーを徐々に変え、サイズも少しずつ変えながら、発行してきています。このたび2013~2015年までの(幻の)『S.O.S. BOOK』を制作し、2013年から2022年までの10冊のS.O.S. BOOKシリーズを揃えました。『S.O.S. BOOK 2022』はWEB媒体ですが、『S.O.S. BOOK 2015-2013』は印刷して楽しんでいただくこともできるように設計しています。

S.O.S.の10年。相模原市の主催事業(2013~2014年)として始まった本プロジェクトは、主催をS.O.S. NETWORKというアーティストの団体へと変え(2015~2017年)、その後、両者の関係を新たに市とアーティストで共同する実行委員会を組織(2018~)。そして、運営体制を模索するなか、コロナ禍で一斉公開が不可能となり活動をオンライン中心に切り替え(2020~2021年)、今年ようやくスタジオ一斉公開の本懐を取り戻せる(2022年)、という変遷をたどってきました。「SUPER OPEN STUDIO」とは何か。『S.O.S. BOOK 2022』では現在と過去を交差させることで、S.O.S.の10年を紐解きます。

編集代表 中尾拓哉